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事故の概要
 1.
  事故報告件数
 2.
  事故の分析
 3.
  事故に関するまとめ
 

事故報告件数
 2001年度から2007年度までの事故報告件数は229件です。内容がある程度判明している事故のみカウントしていますので、実際の事故発生数はこれより多くなっています。

事故報告件数グラフ

年度は保険期間(当該年度8月1日〜翌年8月1日)でカウント


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事故の分析
 【1.事故報告件数】の事故のうち詳細な事故内容が判明している155件について分析しました。

(1)業務内容を切り口とした事故の分析

 事故のほとんどが特許業務に関わるもので内訳は下記グラフの通りです。
 商標業務に関わる事故の内訳は、期限管理18%・調査9%・その他73%、意匠業務に関わる事故の内訳は、期限管理50%・調査10%・その他40%となっています。

業務内容を切り口とした事故の分析の円グラフ

(2)国内・海外を切り口とした事故の分析

 弁理士の業務は、国内・海外を切り口とし以下の3つに分けることができます。

国内業務… 国内のクライアントが国内での知的財産権取得を希望する場合に必要とされる業務
外内業務… 海外のクライアントが国内での知的財産権取得を希望する場合に必要とされる業務
内外業務… 海外のクライアントが国内での知的財産権取得を希望する場合に必要とされる業務

 155件の事故における国内:外内:内外=53%:32%:15%となっており、外内・内外の事故が約半分を占めていることが分かります。
(事故件数自体が少ないこともありますが)商標・意匠・実用新案では外内・内外の事故はほとんどありません。
特許における国内・外内・内外の内訳は下図の通りです。

特許:国内・海外を切り口とした事故類型グラフ

(3)発生原因を切り口とした事故の分析

 事故原因は複合的であり、過誤の主体も弁理士本人・履行補助者たる事務所の職員とさまざまですが、原因として多い順に以下の通り分類できます。

  1. 「うっかり」
    事故の半分以上はつい「うっかり」が原因です。
    • 審査請求期限を忘れてしまっていた
    • 提出書類作成時、表1を記載すべき部分に図1を記載してしまった
    • PCT出願の際、A国とB国に出願を依頼されたが、B国とC国に出願してしまった
  2. コミュニケーション不足
    事務所←→クライアント、事務所←→海外代理人、弁理士←→従業員、これらの意思疎通不足のため、過誤が発生する(もしくは過誤の発見が遅れ損害が修復できない)ケースも多くあります。
    • 依頼がなかったため年金を納付しなかったがクライアントは弁理士が納付するものと思っていた
    • 海外代理人に業務を依頼したつもりだったが、代理人は認識していなかった
  3. 管理体制不十分
    書類管理体制が十分でなかったり、担当者の定めが明確でなかったりすることにより、過誤が発生することもあります。
    • クライアントからの審査請求に関する指示FAXを誤って破棄し、手続きが漏れてしまった
    • 担当者休暇日の特許登録について、データインプットが漏れていたため年金納付期限を徒過した
    • 1人弁理士事務所で弁理士が急病で入院し、業務が全て滞ってしまった
  4. 知識不足・誤認
    知識不足を原因とした事故は、あまり多くはありません。しかし、外内・内外案件では比較的発生しやすい傾向があります。
    • PCTルート外内出願で、翻訳文提出期限が国内書面提出日から2ヶ月であることを知らなかった
    • 米国特許出願時、IDSの提出が必要なことを認識していなかった

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事故に関するまとめ

(1)期限管理に関する事故が全体の70%

 期限管理に関する事故がほとんどを占めています。国内の場合は、ほとんど「うっかり」が原因ですが、外内・内外の事故については「クライアントからの指示メールを見逃していた」「海外代理人まかせにしてしまった」等のコミュニケーション不足・管理体制不足が原因のケースも多く発生しています。

期限管理に関する事故の円グラフ

 期限管理の中でも、最も発生数の多い事故が「審査請求期限徒過」ですが、この事故の場合2つの側面から、発生することのないよう特に注意する必要があります。第1に、損害賠償請求の成立についてクライアントに立証責任があることが挙げられます。損害賠償責任の成立には、「審査請求が行われていれば特許登録査定が得られていたこと」および「特許登録とならなかったことにより損害が現実に発生していること」の立証が必要ですが、どちらも立証が難しいケースが多いといえます。
 次に、クライアントの心情が挙げられます。クライアント側には「特許は必ず登録となったはず」「登録となれば、大きな利益をもたらしたはず」という大きな期待があるため、損害賠償責任の認定にご納得いただきにくい傾向があります。

(2)外内・内外の事故が増加傾向

 昨今の事故傾向として、外内・内外の事故が増加していることが挙げられます。弁理士業務全体に占める当該業務の割合が増加しているという背景はあるのですが、ここ1〜2年、事故報告件数が特に増加傾向にあります。
 外内の事故は、9割以上が期限徒過によるものです。業務内容としては国内業務と大きな違いはありませんが、クライアントとのやり取りが英語になることにより、うっかりミスが生じたり、意思の疎通がうまくいかなかったりするケースが多いようです。中には「クライアントからの英語の指示メールを見逃してしまった」「英語の得意な職員に任せてしまった」等、英語に不慣れであることを原因とした事故もあります。
 内外の事故の原因としては、原因は様々ですが、PCT出願指定国誤認等のうっかりミスもある一方、出願国の法制度や実務の基礎知識が不足しているために発生する事故もあります。また、弁理士は適切な指示をしていたにも関わらず、現地代理人が対応していなかった、という事故も最近では増えてきています。


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