| 【1.事故報告件数】の事故のうち詳細な事故内容が判明している155件について分析しました。
(1)業務内容を切り口とした事故の分析
事故のほとんどが特許業務に関わるもので内訳は下記グラフの通りです。
商標業務に関わる事故の内訳は、期限管理18%・調査9%・その他73%、意匠業務に関わる事故の内訳は、期限管理50%・調査10%・その他40%となっています。

(2)国内・海外を切り口とした事故の分析
弁理士の業務は、国内・海外を切り口とし以下の3つに分けることができます。
国内業務… 国内のクライアントが国内での知的財産権取得を希望する場合に必要とされる業務
外内業務… 海外のクライアントが国内での知的財産権取得を希望する場合に必要とされる業務
内外業務… 海外のクライアントが国内での知的財産権取得を希望する場合に必要とされる業務
155件の事故における国内:外内:内外=53%:32%:15%となっており、外内・内外の事故が約半分を占めていることが分かります。
(事故件数自体が少ないこともありますが)商標・意匠・実用新案では外内・内外の事故はほとんどありません。
特許における国内・外内・内外の内訳は下図の通りです。

(3)発生原因を切り口とした事故の分析
事故原因は複合的であり、過誤の主体も弁理士本人・履行補助者たる事務所の職員とさまざまですが、原因として多い順に以下の通り分類できます。
- 「うっかり」
事故の半分以上はつい「うっかり」が原因です。
- 審査請求期限を忘れてしまっていた
- 提出書類作成時、表1を記載すべき部分に図1を記載してしまった
- PCT出願の際、A国とB国に出願を依頼されたが、B国とC国に出願してしまった
- コミュニケーション不足
事務所←→クライアント、事務所←→海外代理人、弁理士←→従業員、これらの意思疎通不足のため、過誤が発生する(もしくは過誤の発見が遅れ損害が修復できない)ケースも多くあります。
- 依頼がなかったため年金を納付しなかったがクライアントは弁理士が納付するものと思っていた
- 海外代理人に業務を依頼したつもりだったが、代理人は認識していなかった
- 管理体制不十分
書類管理体制が十分でなかったり、担当者の定めが明確でなかったりすることにより、過誤が発生することもあります。
- クライアントからの審査請求に関する指示FAXを誤って破棄し、手続きが漏れてしまった
- 担当者休暇日の特許登録について、データインプットが漏れていたため年金納付期限を徒過した
- 1人弁理士事務所で弁理士が急病で入院し、業務が全て滞ってしまった
- 知識不足・誤認
知識不足を原因とした事故は、あまり多くはありません。しかし、外内・内外案件では比較的発生しやすい傾向があります。
- PCTルート外内出願で、翻訳文提出期限が国内書面提出日から2ヶ月であることを知らなかった
- 米国特許出願時、IDSの提出が必要なことを認識していなかった
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